個人・フリーランスの必要経費

個人事業主やフリーランスの方が所得税の確定申告を計算する場合、1年間の収入金額から経費を差し引いて所得の金額を算出していきます。その際、差し引ける経費が「必要経費」です。

ここでは、所得税の確定申告において、必要経費になるもの、必要経費にならないものの具体的な項目と経費の判断のポイントについて説明します。

 

《目次》

1.必要経費になるもの

2.必要経費にならないもの

3.家事関連費

4.必要経費の対象となる家事按分

5.まとめ

必要経費になるもの

個人・フリーランスの事業において必要経費になるものの各勘定科目と必要経費に算入するときのポイントをふまえて、下記の表にまとめてあります。

勘定科目 具 体 的 な 内 容
租税公課

個人事業税、固定資産税、不動産取得税、自動車税、登録免許税、印紙税など事業にかかるものになります。

税金でも所得税や住民税、延滞税や加算税などは経費になりません。

荷造運賃

段ボール、ガムテープなどの荷造りや梱包にかかる費用や郵送料、宅急便などの配送費用になります。

商品の仕入れた時にかかる発送費や運賃は、「荷造運賃」ではなく「仕入高」に含まれます。

水道光熱費

水道光熱費は、水道料金、電気料金、ガス料金などの費用です。

自宅兼事務所の場合には、事業とプライベート分とを按分して必要経費を算定していきます。

旅費交通費

電車代、バス代、タクシー代、航空運賃、駐車場代、出張した時の宿泊費などの費用です。

交通機関を利用して領収書がない場合には、日付、行き先、金額、移動の目的をまとめて詳細の記録が必要になります。

通信費

電話料金、インターネット料金、切手代、通信手段にかかる費用です。

自宅兼事務所の場合には、事業とプライベート分とを按分して必要経費を算定していきます。

広告宣伝費

広告費、アフェリエイト広告、パンフレット作成費、名刺代、事業の看板や試供品の費用などになります。

接待交際費

取引先との接待の際の飲食代、お中元やお歳暮などの贈答品にかかる費用です。

接待の際の取引先を送迎する交通費も接待交際費に含まれます。

従業員との慰労会などの食事代は、「福利厚生費」になります。

取引先の接待と関係のないプライベートでの飲食代は、接待交際費として必要経費になりません。

損害保険料

事務所や店舗の火災保険、営業事業車の自動車保険、賠償保険などにかかる費用になります。

保険のうち積立タイプの保険の支払いについては、その支払いの一部または全部を「保険積立金」の科目で資産として計上します。

修繕費

事務所や店舗、設備、車、機械装置、パソコンなどの修理にかかる費用になります。

その資産の価値や機能を向上させたり、使用できる期間が延びるような修繕の支出を行った場合には、その支出の金額は「資本的支出」として固定資産に計上して減価償却を行う処理になります。

消耗品費

文房具などの事務用品、プリンター用紙やインク、工具・備品など、購入時の価額が10万円未満の費用になります。

事務用品のように事務作業で使用する文房具などは「事務用品費」で処理することもあります。

備品など購入時の価額が10万円以上のばあいには「工具器具備品」として資産計上処理されます。一括償却資産として処理を選択することもできます。

青色申告者の場合、一定の要件のもと少額減価償却資産の特例も設けられています。

減価償却費

減価償却は固定資産の取得にかかった支出金額をその年の費用としないで、固定資産ごとの耐用年数に応じて配分し、各年度分に相当する金額を費用として計上します。

パソコン、コピー機、店舗設備、自動車などの金額が一定以上のものは、ルールに定めた耐用年数、償却率、償却方法に算出した費用を計上します。

取得にかかった支出金額(取得価額)には、固定資産の購入価額以外にも、購入した時にかかった経費(搬送費、備付費など)も原則として含まれます。

福利厚生費

従業員との慰労の飲食代、新年会・忘年会での飲食代、残業食事代、慶弔見舞金、健康診断費用などの費用です。

結婚祝い金、出産祝い金や香典なども福利厚生費に該当します。このような慶弔費は領収書がありませんので、「慶弔見舞金申請書」などで支払いの内容を明確にして経費として処理をします。

事業主本人の慶弔見舞金や健康診断費用は、必要経費とすることはできません。

給与・賃金

従業員やアルバイトの方への給与です。

支払いの際には源泉所得税や住民税、社会保険料を控除します。

外注加工費

外部業者へ委託した業務、工事、加工、ホームページの作成費用などにかかる費用です。

業務の一部や全部を外部へアウトソーシングした費用も外注費に含まれます。

利子 事業資金を借入れたときの借入利子です。
地代家賃

事務所や店舗、駐車場の家賃などの費用です。

個人事業主が、自宅兼事務所・店舗としている場合には、事業用とプライベート用分と按分して、事業用部分のみを経費に計上します。

雑費

他の勘定科目に当てはまらないもので、金額が少額で重要性が低い支出に使用する費用科目です。

雑費の総額が多額になると費用の内容について判断がつかなくなりますので、他の勘定科目で処理すべきものは他の勘定科目へ振替したり、独立の勘定科目を設定することも考えられます。

必要経費にならないもの

必要経費にならないものの具体的な一例は、下記の表にまとめてあります。

所得税・住民税 所得税や住民税は必要経費になりません。
家族に支払う給与

同一の生計の配偶者や子供に対して支払う給与は、青色申告を選択して一定の届出を行った場合には青色事業専従者給与として経費に計上できます。また、白色申告の場合は事業専従者控除として控除をうけることができます。

出張の際の実費以外の旅費・出張費

出張などにかかる旅費交通費のうち、実費以外の旅費や出張費は経費になりません。

事業に直接関係しない支出 自宅兼事務所のように事業とプライベートで共有する場合、事業と直接的に関係しない支出については経費計上されません。
罰金、過料 罰金や科料、過料などは必要経費になりません。
賄賂

公務員に対して賄賂を渡した場合なども、その金額は必要経費になりません。

家事関連費

個人事業主やフリーランスの場合、仕事とプライベートとそれぞれで同じものを使用することや、一つの支出で仕事とプライベート分に共通してかかわりのある費用もあります。

例えば、自宅で開業している場合では、家賃、インターネットの通信代、水道光熱費などがあてはまります。その他にも交際費や接待費などの飲食代なども考えらます。

このような仕事とプライベートに共通してかかわりがある費用を家事関連費といいます。

この家事関連費のうち必要経費になるものは、取引の記録などに基づいて、事業を行うために必要であったことが明らかに区分できる場合に、その区分できる金額について必要経費に算入するこができます。

 

必要経費の対象となる家事按分

自宅兼事務所の場合には、家賃や水道光熱費などについて、どのくらいの割合で仕事に使っているかを計算して経費に算入する必要があります。

その区分を「家事按分」といいます。

経費として認められる部分は、事業に関するもののみになりますので、支払った金額のうち、事業分を客観的に妥当な割合で按分する必要があります。

按分して仕事にかかる事業分を必要経費にすることで節税の効果にもつながります。

具体的に、自宅兼事務所の場合の家賃については、仕事で使用しているスペース部分や部屋を床面積比で按分して計算する方法があげられます。

賃貸ではなく持ち家で自宅兼事務所の経費については、固定資産税や住宅ローンの利息などを経費とすることも考えられます。その際の按分の方法は賃貸の場合と同じ考え方になります。

インターネット通信費や水道光熱費などについては、仕事での従事時間で按分して計算する方法があげられます。

なお、水道光熱費については、飲食業やデスクワークでの業種など、仕事の業態によって使用形態も変わりますので事業の実態についての判断も必要になってくるものと考えられます。

 

まとめ

個人やフリーランスの方の場合、日々の業務の中でいろいろな経費の支払いが生じてきます。

必要経費になるものと、必要経費にならないものの区別が複雑という理由から必要経費に計上しなかったり、経費の計上がもれてしまったりという場合もありますので、必要経費に計上できる項目については、事業との関連性に当てはめながら判断していくと節税の効果にもつながり、経費の見直しにもなります。

事業の実態に合わない経費の計上は、申告内容の否認にもつながりますので、日々の支払いの内容を確認しながら正確な記録を行うことも重要です。

 

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