消費税の税込み総額表示の義務化

令和3年4月1日より、店舗などの値札やカタログなど商品価格の表示について消費税を含めた総額での表示が必要になります。

ここでは、消費税の総額表示の義務化について、対象となるものや具体的な事例なども含めて説明します。

 

 

 

 

《目次》

1.「総額表示」の義務化について

2.総額表示の対象

3.総額表示と認められる例、認められない例

4.具体的なQ&A

5.まとめ

「総額表示」の義務化について

令和3年4月1日より、店舗などの商品価格の表示について消費税を含む総額での表示が必要となります。

厳密には、総額表示は平成16年から義務化されています。これは、消費税の税率改定に伴う値札の貼り替えなどの事務負担の軽減のために、税別であることが分かれば税抜価格での表示も認められる猶予期間が定められていました。

この猶予期間が、令和3年3月31日で期限を迎えるため、令和3年4月1日より税込みでの総額表示に統一されることになります。

 

総額表示の対象

総額表示の対象は、一般の消費者に対して商品やサービスを販売する価格表示が対象になります。

具体的には下記の価格表示が対象とあげられています。

消費税の総額表示の対象

● 値札、商品の陳列棚、店内表示、商品のカタログなどへの価格表示

● 商品のパッケージなどへの印字や貼付した価格表示

● 新聞の折り込み広告、ダイレクトメールなどにより配布するチラシ

● 新聞、雑誌、テレビ、インターネット、ホームページ、電子メールなどの媒体を利用した広告
● ポスター   など

具体的な対象内容のように、総額表示は不特定かつ多数の者に対して、あらかじめ価格を表示する場合を対象としています。

一般の消費者が価格を誤認しないことを目的としているため、業者間取引いわゆるBtoB間の取引の価格表示については対象とされておりません。

 

総額表示と認められる例、認められない例

具体的に、税込価格11,000円(税率10%)の商品の場合の価格表示で、総額表示と認められる例と総額表示として認められない例は下記になります。

  具体的な表示の例
総額表示と認められる例

11,000円

11,000円(税込)

11,000円(税抜価格 10,000円)

10,000円(税込価格11,000円)
11,000円(うち税1,000円)

11,000円(税抜価格10,000円、税1,000円)

総額表示と認められない例 10,000円(税抜き)
10,000円(本体価格)
10,000円 + 税

令和3年3月31日までは、「総額表示と認められない例」の価格表示も認められていましたが、令和3年4月1日以後は、「総額表示と認められる例」のような価格表示が必要になります。

具体的なQ&A

財務省のホームページで掲載されているQ&Aのうち、実務でお問合せを受けたQ&Aをいくつか抜粋しております。

Q1 見積書や請求書等は、総額表示義務の対象でしょうか?

A.総額表示は、不特定かつ多数の者に対する値札や広告において価格を表示する場合を対象としていますので、見積書、契約書、請求書などは総額表示の対象にはなりません。ただし、ホームページや広告などで、あらかじめ「見積り例」など示している場合は、不特定かつ多数の者に価格を表示していますので総額表示の対象になります。

Q2「10,000円(税込11,000円)」という表示は総額表示に該当しますか?
A.総額表示に該当します。しかし、「税抜価格」を本書きとする表示方法は、税抜価格をことさらに強調すると消費者の誤認を招くことになります。誤認される表示は、総額表示の趣旨から問題があることより、実際に消費者が誤認した場合、「景品表示法上の不当表示」の問題が生じるおそれがあります。
Q3 現在の「税抜価格」をもとに「税込価格」に設定する場合に円未満の端数はどのようにすれば良いですか?
A.税抜価格に上乗せする消費税相当額に1円未満の端数が生じる場合、端数処理(切捨て、切上げ、四捨五入)はそれぞれの事業者ごとの判断に任されており、端数切上げを選択しても便乗値上げにあたらないとされています。
Q4 値引販売による価格表示はどのようにすれば良いですか?
A.スーパーマーケットなどで値引販売が行われる価格表示の「〇〇割引き」または「〇〇円引き」とする表示自体は総額表示の対象にはなりません。なお、値引き後の価格を表示する場合には、総額表示とする必要があります。
Q5 「総額表示」の移行で、レジを変更する必要はありますか?

A.レジシステムの変更は義務ではありません。

 しかし、税抜157円(税込172円:円未満切捨て)の商品を2個買う場合、税込価格で計算すると172円×2=344円。税抜価格合計で計算すると157円×2×1.1=345円と異なります。このような場合、税込価格で計算するシステムに変更するか、またはシステム変更が困難な場合、店内に「消費税の計算上、レジでの精算の際に合計額が異なる場合がある」旨の周知を行うなどの対応が必要になります。

*財務省ホームページで公表されている「総額表示に関する主な質問」(外部リンク)もご参考ください。

まとめ

消費税の税込み総額表示の義務は、商品価格の表示を消費税を含めた総額で表示しなければならないことです。令和3年3月31日までは、特例により総額表示でない価格表示も認められていましたが、令和3年4月1日からは消費税を含めた総額表示が義務化されています。

消費税の税込み総額表示の義務化については、消費税法上では罰則がありません。ただし、一般消費者から指摘を受けて、企業や事業のイメージを損なうことがないようにコンプライアンスの遵守の面からも対応が必要といえます。

 

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