相続税の債務控除

相続税の計算では、被相続人の借入金や未払金などの債務を相続財産から控除する債務控除の制度があります。

債務控除のできる債務は、被相続人のすべての債務があてはまるわけではなく、対象となる債務が決められています。

ここでは、相続税の計算における債務控除について具体的に解説します。

 

《目次》

1.債務控除とは

2.債務と葬式費用

3.債務控除の対象となる税金

4.債務控除の対象とならないもの

5.債務控除ができる人

6.まとめ

債務控除とは

相続が発生したとき、相続人は被相続人の現金預金や不動産、株式などのプラスの財産のほか、被相続人の借入金や未払金といったマイナスの財産も含めて承継されます。

相続税の申告においては、プラスの相続財産からマイナスの財産を差し引きして、正味の財産に対して相続税を計算します。債務控除とは、相続税の課税対象となる相続財産の価額を計算する際に、このマイナスの財産を差し引く制度のことです。

遺産の総額から差し引くことができるため、債務の金額によって、納める相続税の額も軽減する効果があります。

相続税の申告では、プラスの財産だけでなく、借入金などのマイナスの財産も含めてすべての遺産を確認することが必要です。

 

債務と葬式費用

債務控除できるものは、大きく分けて債務葬儀費用になります。

債務は、相続開始時点で確定しているもので、具体的には借入金や未払金、未払いの税金(所得税、消費税、個人事業税、住民税、固定資産税、自動車税など)、クレジットカードの未決済分、病院の費用などがあたります。

葬儀費用は、相続開始の時点でまだ発生しておりませんが、相続税の計算において相続財産からマイナスすることができます。

具体的には、お通夜・告別式の葬祭費用、読経料・お布施・戒名料などのお寺に支払う費用、埋葬・火葬料・納骨料、葬儀の際の飲食費などがあたります。

 

債務控除の対象となる税金

相続開始の時点で被相続人の未払いの税金については、債務控除の対象になります。

債務控除の対象となる税金のうち、主なものは下記の税金になります。

所得税

消費税

個人事業税

被相続人の確定申告を準確定申告といいます。この準確定申告で申告が確定した所得税、消費税については、債務控除の対象となります。

被相続人が確定申告書を申告した後に、所得税、消費税を納付する前に亡くなった場合には、これらの税金も債務控除の対象となります。

住民税

住民税は、その年の1月1日時点でお住いの市区町村から課税されます。

被相続人の支払いが済んでいない住民税がある場合には、債務控除の対象となります。

固定資産税

固定資産税は、その年の1月1日時点で不動産を保有している場合に課税されます。

被相続人の支払いが済んでいない固定資産税がある場合、債務控除の対象となります。

ただし、不動産を複数で共有している場合は、被相続人の共有の持ち分に該当する固定資産税が債務控除の対象となります。

自動車

自動車税は、その年の4月1日時点で車を保有している場合に課税されます。

被相続人の支払いが済んでいない自動車税がある場合、債務控除の対象となります。

また、相続人の責任によって納めることとなった延滞税や利子税、その他加算税などのペナルティーの税金については、債務控除の対象にはなりません。

ただし、被相続人の責任によって納めることとなった、相続開始前年以前の延滞税や利子税、その他の加算税などのペナルティーの税金については、債務控除の対象になります。

債務控除の対象とならないもの

債務と思われていても債務控除の対象とならない費用や債務もあります。

また、被相続人の相続後に発生する費用のうち、相続人が負担すべき費用は債務控除にはなりません。

具体的には、下記の内容になります。

   
債務控除の対象とならない葬儀費用等

香典返しの費用

初七日や四十九日法要など法事に関する費用

お墓や墓石、仏壇など仏具の購入費用

医学的な遺体の解剖などの費用

保証債務

保証債務は、債務者が借入れなどを返済できない場合に代わって、その返済の責任を負う保証人の債務のことをいいます。

原則として、保証債務は債務控除の対象にはなりません。(ただし例外により、債務者が返済不能の状況にある場合、一部に限り控除が認められることがあります)

相続人が負担すべき債務

相続財産の管理費用

財産目録などにかかる費用

遺言執行にかかる費用

戸籍謄本など書類の取得にかかった費用

相続で不動産を取得した場合の登録免許税等

相続財産の登記で依頼した司法書士費用

遺産分割などの交渉で依頼した弁護士費用

相続税の申告で依頼した税理士費用

債務控除ができる人

債務控除ができる対象者は、相続人包括受遺者です。

相続人と包括受遺者は被相続人の財産について一切の権利だけではなく義務も承継しなければならないことから、債務控除を受けることが認められています。

一方で特定遺贈で権利のみ承継できる特定受遺者には、債務控除は認められていません。

被相続人が遺言で遺贈する特定の財産をあらかじめ指定されており、マイナスの財産を含めそれ以外の財産は承継しないため、債務控除は適用されません。

また、相続放棄した人や相続の権利を失った失権者も、被相続人の財産について一切の権利義務を承継しないため、債務控除が認められていません。

ただし、葬儀費用に関しては、実際に葬儀費用を負担した場合、その内容によって控除が認められています。

 

まとめ

相続税の計算における債務控除について解説いたしました。

相続税の申告時には、プラスの相続財産と同じく債務控除の対象となるマイナスの相続財産についても確認をおこなうことが必要となります。

債務を明らかにするためにも負担した費用については書類や領収書等をきっちりと保管しておくことが必要です。また、領収書などの受取りが難しいお布施や心づけについては、日付や金額を記載したメモ等で履歴を残しておくことで、債務控除の対象の実証になります。

債務控除は、相続税の計算で遺産の総額から差し引くことができるため、納める相続税の節税効果にもなります。

債務控除の対象となるものを確認しながら相続税の申告、税額の計算を進めることが大切です。

 

 

相続税の申告では相続税の負担を軽減する制度があります。こうした制度を適用して申告、税金の計算を行うことで相続税の節税効果にもつながります。

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