日本政策金融公庫の無保証の5つの融資制度

日本政策金融公庫は、中小企業向けの公的な融資機関ですが、原則として融資の際には、担保か保証が必要です。

ただし、日本政策金融公庫には、法人の代表者の個人保証なしで借入ができる融資制度が5つあります。

ここでは、日本政策金融公庫の中で代表的な無担保・無保証の融資制度について、その要件や特徴を説明いたします。

 

 

《目次》

1.日本政策金融公庫の無保証融資の特徴

2.新創業融資制度

3.生活衛生改善貸付

4.マル経融資(小規模事業者経営改善資金)

5.中小企業経営力強化資金

6.経営者保証免除特例制度

7.まとめ

日本政策金融公庫の無保証融資の特徴

日本政策金融公庫では多くの融資制度を取り扱っていますが、担保または保証人が必要であることが原則です。

日本政策金融公庫では融資自体が無担保・無保証人の融資制度の取り扱いもあり、申請者の自己資金や事業計画など総合的に判断して、設定された限度額内で無担保・無保証人での借入が可能になります。

特に、新たに創業した会社や事業者向けに、新規創業時における事業資金を無担保・無保証で融資が受けられる制度なども特徴の一つです。

無担保や無保証の場合の借入の返済能力は、事業計画の実現可能性や経営者、事業者の事業経歴や経営能力などが審査の上で重要視されます。また、融資額に対する自己資金の額も判断要素としてと測られます。

 

新創業融資制度

新たに事業を始める方、または事業開始後に税務申告を2期終えていない方が対象となる創業融資制度で、3,000万円(運転資金については1,500万円)まで無担保・無保証人で借入が行える制度です。

自己資金の要件として、創業資金の総額の10分の1以上の自己資金の確保が必要になります。

創業者向けの融資制度のため、何年も事業をされている会社や事業者は利用できませんが、創業者にとっては、一番利用しやすい融資制度になります。

 

生活衛生改善貸付

生活衛生同業組合などの経営指導を受けている生活衛生関係の事業(理美容店・飲食業等)を営む小規模事業者が対象となり、2,000万円まで無担保・無保証人で融資を受けることができる制度です。

借入資金としては、設備資金だけでなく運転資金としても利用が可能です。

制度を利用する要件は、生活衛生同業組合の長の推薦を受けた事業者で、常時使用する従業員が5人(旅館業や興行場営業は20人)以下とされており、一定の規模以下の会社または個人事業者が利用できます。

 

マル経融資(小規模事業者経営改善資金)

商工会議所や商工会などの経営指導を受けている小規模事業者の商工業者が、経営改善に必要な資金を無担保・無保証人で利用できる融資制度です。

融資限度額は2,000万円まで無担保・無保証人で融資を受けることができ、返済期間は運転資金の場合は7年以内、設備資金の場合は10年以内とされております。

以下の要件を満たした事業者が対象となります。

(1)従業員20人以下(宿泊業と娯楽業を除く商業サービス業は5人以下)の法人・個人事業者

(2)商工会議所の経営・金融指導を受けて事業改善に取り組んでいること

(3)最近1年以上、同一会議所の地区内で事業を行っていること

(4)商工業者であり、日本政策金融公庫の融資対象業種を営んでいること

(5)税金(所得税、法人税、事業税、住民税)を完納していること

 

マル経融資(小規模事業者経営改善資金)は、商工会議所を通じて行われる融資制度になります。

融資を申し込む際には、商工会議所会頭、商工会会長等の推薦が必要です。

そのため、同一会議所の地区内で1年以上事業を行ったうえで商工会議所へ経営相談を申し込み、経営・金融指導を受けて事業改善に取り組みことが要件となり、商工会議所を通じて経営についてのアドバイスを受けることもメリットといえます。

 

中小企業経営力強化資金

この制度は、「経営革新等認定支援機関」の指導や助言のサポートを受けて利用できる融資制度です。

新事業分野の開拓を行う企業や「中小企業の会計に関する基本要項」「中小企業の会計に関する指針」の会計ルールに沿った事業計画を策定する企業の資金調達に利用されています。

「経営革新等認定支援機関」のサポートが必要となり、事業計画の策定や計画の進捗状況の報告の要件がありますが、債務超過の企業であっても、また2期連続赤字企業であっても利用できる融資制度です。

業種や創業年数、財務内容に制限がないため、中小企業が比較的利用しやすい制度です。

創業間もない中小企業も利用ができ、自己資金の要件がないというメリットもあります。

2020年4月以降は1,000万円までは無担保・無保証人で利用できます。

 

経営者保証免除特例制度

この制度は、公庫の各融資制度で定める無担保枠の金額までは利用できますが、以下の要件を満たした事業者のみが対象となります。債務超過の企業や、2期連続赤字の企業は利用できません。

(1)税務申告を2期以上行い、かつ事業資金の融資取引が1年以上あり、直近1年間返済に遅延がないこと

(2)最近2期の決算期において減価償却前の経常利益が連続して赤字ではないこと

(3)直近の決算期において債務超過ではなく財務状況に問題がないこと

(4)法人から代表者への貸付金や仮払金等がなく、法人と代表者との一体性の解消が図られていること等

 

この制度の適用を受けた場合、既存または新規の融資について経営者の保証が免除されます。

無条件で担保が不要となるわけではなく、担保の提供の有無は申し込みの際に選択することとされます。 

 

まとめ

日本政策金融公庫の融資制度には、無担保・無保証による制度もあり、事業目的や適用要件に応じて選択ができます。

無担保・無保証の融資制度を利用することで、事業資金の調達において経営者の負担を軽減できる点が大きなメリットといえます。創業期の経営者や事業の承継により引き継がれる新しい経営者が、過度な負担を負うことなく経営をスタートする際や承継する際の検討にもなります。

各制度の適用にあたっては、事業計画の策定や税務申告を一定期間行っていることなどが要件とされていることから、事業者の経営への取り組みや事業の安定性も審査の判断とされています。

事前に事業計画を策定を行い、制度の利用後も経営数字から現状を把握して事業計画や経営ビジョンの備えは大切になります。

 

融資を申し込む際や財務指標の判断には、専門家のアドバイスを受けながら進めることがおすすめです。

 

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