経営者保証を外してもらうための対応策

中小企業庁は、経営者の事業展開や、早期事業再生等を応援するために「経営者保証に関するガイドライン」を公表しています。

2014年に当ガイドラインが施行されてから、経営者保証のない新規融資は徐々に増加してきました。

ここでは、経営者保証なしで融資を受ける場合や経営者保証を解除してもらう場合に、経営者として知っておくべき対応策について説明いたします。

 

《目次》

1.経営者保証に関するガイドラインから3つの対応策

2.法人と経営者との関係の明確な区分・分離

3.財務基盤の強化

4.財務状況の正確な把握・開示による経営の透明性の確保

5.経営者保証を外しやすくする6つのポイント

6.まとめ

経営者保証に関するガイドラインから3つの対応策

「経営者保証に関するガイドライン」は、経営者の個人保証について、

 ・法人と個人が明確に分離されている場合などに、経営者の個人保証をもとめないこと

 ・多額の個人保証を行っていても、早期に事業再生や安定した事業継続のため、廃業を決断した際に一定の

  生活費等を残すことや「華美でない」自宅に住み続けられることなどを検討する

 ・保証債務の履行時に返済しきれない債務残額は原則として免除すること   

などを定めています。

「経営者保証に関するガイドライン」に法的な拘束力はありませんが、「中小企業、経営者、金融機関共通の自主的なルール」として位置づけられています。金融庁も積極的な後押しをしていることもあり、ガイドラインの施行後は、活用件数も増えてきています。

ガイドラインでは、次の3つの項目に対応できている経営状況であれば、中小企業は経営者保証なしでも融資を受けられる可能性があると解説しています。

(1)法人と経営者との関係の明確な区分・分離
(2)財務基盤の強化
(3)財務状況の正確な把握、適時適切な情報開示等による経営の透明性確保

このことから、経営者保証なしで融資を受ける場合や経営者保証を解除したい場合には、この3つの項目を前提として対応して行く必要があります。

法人と経営者との関係の明確な区分・分離

ガイドラインでは「主たる債務者は、法人の業務、経理、資産所有等に関して、法人と経営者の関係を明確に区分・分離し、法人と経営者との間の資金のやりとりを、社会通念上、適切な範囲を超えないものとする体制を整備するなど、法人・個人の一体性の解消に努めること」と解説しています。

「法人と経営者との関係の明確な区分・分離」の具体事例としては、法人から経営者へ事業上で必要性のない貸付は行っていない、経営者個人の飲食代などの支払いを法人の経理処理としていない、経営者自身が営業車などの資産を所有している場合、個人名義とはしないで法人名義としている、自宅店舗など法人と経営者個人の分離が難しい場合、法人から経営者へ適切な賃料を支払うなどがあげられます。

このような会社と経営者との関係を明確に区分・分離する対応として、「中小企業の会計に関する基本要項」にそった決算書を作成することが考えられます。

「中小企業の会計に関する基本要項」にそった決算書類の作成を専門家に依頼することで、「法人と経営者との関係の明確な区分・分離」を客観的に明示することにつながります。

専門家による決算書類の作成やチェックを行い、債権者の金融機関などへ適切に開示し、説明することが望ましいと考えられます。

 

財務基盤の強化

ガイドラインでは「経営者保証を提供しない場合においても事業に必要な資金を円滑に調達するために、主たる債務者は、財務状況及び経営成績の改善を通じた返済能力の向上等により信用力を強化する」と解説しています。

これは、経営者個人の資産に頼らず、法人のみの資産や収益力で、借入金の返済をすることができる財務状況であることが求められています。

「財務基盤の強化の具体例」としては、業績が堅調で事業資金を確保して毎期黒字で内部留保が十分であること、業績は不安定であるけれども業績の下振れを考慮しても、債務超過でなく内部留保で借入金全額の返済が可能であること、自己資本比率は高くないけれども、好業績が毎期続いており、今後も借入を順調に返済できる利益、資金をまかなえる可能性が高いことなどがあげられます。

財務基盤の強化の対応に、債務超過であれば債務超過を解消し、自己資本比率を高めて、事業資金を増やすことが重要になります。 

 

財務状況の正確な把握・開示による経営の透明性の確保

ガイドラインでは「資産、負債の状況、事業計画や業績見通し及びその進捗状況等に関する対象債権者からの情報開示の要請に対して、正確かつ丁寧に信頼性の高い情報を開示・説明することにより、経営の透明性を確保する」と解説しています。

具体的には、金融機関に対して必要な情報を適切に開示して説明すること、取引先の金融機関とのコミュニケーションを図り、財務状況や事業計画などについて定期的に報告することが求められています。

「財務状況の正確な把握・開示による経営の透明性の確保」としては、貸借対照表や損益計算書の提出だけではなく、決算書の各勘定科目明細書を提出していること、期中の財務状況を把握するために年一回の決算時の報告だけでなく定期的に試算表や資金繰り表、事業計画書を用いて業績の報告することがあげられます。

開示情報の信頼性の向上のためにも、専門家による財務数値のチェックや事業計画の作成と合わせた財務情報の提供が望ましいと考えられています。

また、開示情報を報告した後に、事業計画や業績の見通しなどに変更が生じた場合にも、自主的に報告するなど適宜、財務情報の提供と報告をすることで金融機関等とのコミュニケーションが図られ信頼性が高まります。

 

経営者保証を外しやすくする6つのポイント

「経営者保証に関するガイドライン」を踏まえ、具体的に、経営者保証なしで融資をうけることや、経営者保証を解除してもらうためには、次の6つのポイントを満たすことで、保証人を外しやすくなることになっています。

(1)会社のお金と、経営者のお金を明確に分ける

(2)決算書を大幅に黒字化する

(3)自己資本比率を高める

(4)事業計画書を作成する

(5)定期的に金融機関に業績の報告を行う

(6)積極的にサポートしてくれる専門家を顧問先にする

資金や数値の管理、事業計画書の作成などの対応が難しい場合には、専門家のサポートを受けることで(1)~(5)のポイントについて対応ができるようになります。

 

まとめ

経営者保証なしで融資を受ける場合や、経営者保証を解除を金融機関へ依頼する場合、「経営者保証に関するガイドライン」が中小企業、経営者、金融機関共通の自主的なルールとして位置付けられています。

ガイドラインから対策として、法人と経営者の関係の明確な区分・分離、財務基盤の強化、財務状況の把握・開示による経営の透明性等の経営状況が求められます。

会社として、財務面において自己資本比率を高めて事業資金を増やすこと、金融機関へ決算書類等の財務情報の適正な開示と説明が重要な対応となってきます。

 

適正な決算書類、事業計画書の作成や金融機関への対応には、専門家のサポートを受けながら進めることがおすすめです。

 

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