家事按分の失敗が思わぬ追徴課税につながるケース

家事按分は、自宅兼事務所の家賃や光熱費、通信費、車両費など、事業とプライベートの混ざる費用を、事業で使った分だけ経費に計上する方法です。

正しく処理を行えば、節税効果があります。

しかし、曖昧なまま経費を計上すると、税務調査で否認され、思わぬ追徴課税になるリスクがあります。

家事按分が税務調査で指摘されやすいケースについて、よくある質問(Q&A)を交えて解説していきます。

《目次》

1.家事按分とは

2.税務調査で指摘されやすいケース

3.家事按分を正しく行うためのポイント

4.よくある質問(Q&A)

5.まとめ

家事按分とは

自宅兼事務所の家賃や光熱費、通信費、車両費など、事業とプライベートの両方に関わる費用を、事業利用分だけ経費に計上する方法を「家事按分」といいます。

正しく処理をすれば節税になりますが、あいまいな経理処理をすると税務調査で否認され、追徴課税になるリスクがあります。

例えば、自宅の一部を事務所として使用しているのに家賃を全額経費にしたり、車両費や通信費を100%経費計上したりすると、税務調査で「どのくらい事業で使ったのか不明」と指摘されることがあります。

一方で、使用割合を合理的に計算し、領収書や利用記録など証明を残しておくことで、税務調査でも適切な対応ができます。

家事按分を正しく行うことは、追徴課税を防止するだけでなく、経理の信頼性を高めることにつながります。

 

税務調査で指摘されやすいケース
ケース1:使用割合を根拠なく「ほぼ全額」を費用計上

自宅兼事務所の家賃や光熱費を全額経費に計上している場合です。

「どの程度、事業で使っているか」の合理的な説明がなければ、経費の大半を否認される可能性があります。

ケース2:車両費のプライベート利用を分けていない

ガソリン代・駐車場代・車検費用・自動車税・自動車保険料をすべて経費にしていると、プライベート利用分が問題になります。

走行記録や使用割合の記録がなく、全額経費にしていた個人事業主が、税務調査で半分以上を否認された事例もあります。

ケース3:携帯電話・インターネット関連費用の全額計上

仕事でもプライベートでも使う通信費を100%経費に計上することは、否認のリスクが大きいです。

家族の利用や私用通話が含まれていれば、事業利用分のみ認められます。

家事按分を正しく行うためのポイント

家事按分を正しく行うためには、次の点がポイントです。

使用割合を計算する基準を明確にする

(面積、使用時間、走行距離など客観的な指標を活用)

✅記録を残して説明できるようにする

(電気代の使用量、車の走行記録、利用メモなど)

✅全額経費にせず、客観的に判断できる妥当な割合で計上する

(「事業:私用=7:3」など、客観的な事実から合理性を示す)

いずれのポイントも「どのくらい事業で使っているか」を説明できないと、経費が否認されるリスクが大きいです。

「合理的に按分されていない」として、以降の税務調査でもチェック対象になりやすいです。

 

よくある質問(Q&A)
Q1.自宅兼事務所の家賃はどれくらい経費にできますか?

A.一般的には、事業に使用している部屋の面積割合で按分します。

例えば、自宅全体の30%を事務所として使用しているなら、家賃の30%を経費として計算します。図面や契約書があると説明もしやすくなります。

Q2.光熱費も按分が必要ですか?

A.生活用と事業用が混ざるため、事業利用分だけを経費にする必要があります。

「仕事部屋の使用時間」「事業に使う機器の消費電力」など、合理的な基準をもとに割合を決めることが望ましいです。

Q3.車をたまにプライベート用で使う場合はどうすればよいですか?

A.走行記録(業務用の移動先、走行距離)を残し、事業利用の割合を算出する方法が一般的です。

例えば、年間走行距離が1万㎞で、そのうち6,000㎞が仕事での移動なら、60%を経費として計算します。

Q4.携帯電話やインターネット代は?

A.家族や私用での利用がある場合、全額経費計上は認められません。

通話履歴や利用時間の割合を参考に、事業利用分を按分して計上しましょう。

Q5.記録がなくても「常識的な割合」で経費にできますか?

A.明確が記録がない場合でも、ある程度の慣行的な割合(例:携帯電話代の50%、家賃の30%など)が目安になることはあります。

ただし、税務調査で根拠を問われた際に説明できるよう、できるだけ記録を残しておくことが安心につながります。

まとめ

家事按分は中小企業や個人事業主にとって必要な経理処理ですが、『どのくらい事業に使ったかを説明できるか』が重要です。

「妥当な基準で割合を決める」、「記録や資料を残す」、「全額経費計上は避ける」といったポイントを意識することで、追徴課税のリスクを減らし、安心した税務調査対策につながります。

 

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