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決算書は税務申告のためだけに作成するものではなく、金融機関が融資先企業を評価するための重要な資料でもあります。
金融機関では、毎年提出される決算書をもとに企業の格付査定を行っています。
この格付は、今後の融資金額や金利、融資期間、経営者保証の有無などに影響を与える重要な指標です。
今回は、金融機関がどのような視点で決算書をみているのか、また格付に影響を与える勘定科目について具体的に解説していきます。
《目次》
1.金融機関はなぜ決算書を修正するのか
2.金融機関が行う実態財務への修正
3. 格付に影響する勘定科目
4.まとめ
金融機関は、企業の実際の財務状況や返済能力を正確に把握する必要があります。
そのため、決算書の数字だけで判断するのではなく、実際の財務状況に近づけるため『実態財務への修正』を行います。
例えば、回収が難しい売掛金や価値が大きく下落した資産がそのまま計上されている場合、帳簿上は健全に見えても実際の財務内容とは異なることがあります。
金融機関はこうした要素を整理し、企業の実態に近い財務内容をもとに格付査定を行っています。
①不良債権の修正
売掛金の内訳書を確認し、長期間残高が動いていない債権については、回収可能性を検討したうえで不良債権として評価される場合があります。
その結果、資産が減少し、純資産や自己資本比率も低下するため、格付に影響を与えることがあります。
②資産の評価洗い替え
土地や有価証券などは時価が変動する資産です。
金融機関は決算書の簿価ではなく、時価を参考に実態価値へ修正を行います。
また、ゴルフ会員権など取得当時より価値が大きく下落している資産についても、評価を見直すことがあります。
③減価償却費不足額の修正
利益確保を優先し、減価償却費を十分に計上していないケースがあります。
しかし、金融機関は本来計上すべき減価償却費を考慮して収益力を判断します。
そのため、帳簿上は黒字であっても、実態ベースでは利益が減少し、格付に影響する場合があります。
①役員貸付金
役員貸付金は金融機関が、特に注意して確認する勘定科目です。
会社の資金が役員個人へ流出している状態と見られるため、返済能力や資金管理体制に対する懸念につながる場合があります。
また、信用保証協会の審査においてもマイナス評価となることが多く、融資や経営者保証解除の障害となる可能性があります。
②役員借入金
役員借入金は、返済の緊急性が低い場合には実質的な自己資本として評価されることがあります。
その結果、債務超過の改善や自己資本比率の向上要因となるケースもあります。
一方で、役員借入金が過大な場合は資金管理上の課題があると判断されることもありますので、適切な管理が重要です。
③棚卸資産
棚卸資産が前期と比較して大幅に増加している場合、金融機関はその理由を確認します。
特に、売上の伸び以上に在庫が増加している場合には、滞留在庫や架空在庫の可能性を疑われることがあります。
仕入増加や原材料価格の上昇など、合理的な理由がある場合には、説明できるよう準備しておくことが必要です。
金融機関は決算書の数字だけではなく、その背景や実態も含めて企業を評価しています。
そのため、適切な会計処理を行うことはもちろん、決算内容について説明できる体制を整えておくことも重要です。
また、自社の財務状況を正しく把握し、金融機関との継続的なコミュニケーションを図ることは、円滑な資金調達や安定したキャッシュフロー経営にもつながります。
決算書を提出する際には、今回ご紹介したポイントを参考に、自社の財務内容を改めて確認し、金融機関へ適切に説明できるよう準備しておくことが大切です。
スムーズに融資を受けるためには、金融機関から信頼される決算書や月々の試算表を作成することが欠かせません。そのためにも、専門家のアドバイスを受けながら適切な準備を進めることをおすすめします。
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