青色申告と白色申告との違い

事業をスタートして初めて確定申告を行うフリーランスの方や、毎年確定申告されている事業者の方々から、青色申告と白色申告の違いについて、ご質問を多く受けます。

確定申告の方法には青色申告と白色申告の2種類があります。それぞれ必要な書類、帳簿の仕方、事前の届出手続きや節税の効果などにも違いがあります。

ここでは、青色申告と白色申告の内容と違いについて説明いたします。

 

《目次》

1.青色申告と白色申告の違い

2.青色申告のメリットとデメリット

3.白色申告のメリットとデメリット

4.青色申告の手続き

5.まとめ

青色申告と白色申告の違い

青色申告とは、事前に青色申告を選択する「青色申告承認申請書」を税務署へ申請書を提出し、日々の取引を複式簿記の一定のルールにそった帳簿を作成して、確定申告を行う方法です。

白色申告は、青色申告のように複式簿記の一定のルールにそった帳簿を作成することは要求されていません。青色申告より簡単に申告できることが特徴の一つでもあります。青色申告のように事前に申請書を提出する必要もありません。

青色申告は白色申告に比べて、節税や税制面でのさまざまなメリットを受けられることができ、確定申告で税制のメリットを受ける場合には、青色申告で確定申告することが必要です。

事業を始められ、また事業を継続していく中で、利益が出ている場合、青色申告を選択することで節税や税制のメリットを受けることも検討できます。

 

主な、青色申告と白色申告の違いを下記一覧にまとめています。

  白色申告

青色申告

(10万円控除)

青色申告

(55万円控除)

青色申告

(65万円控除)

必要な届出書類 不要 青色申告承認申請書 青色申告承認申請書 青色申告承認申請書
記帳の方法 単式(簡易)簿記 単式(簡易)簿記 複式簿記 複式簿記
確定申告書類

収支内訳書

確定申告書

青色申告決算書

確定申告書

青色申告決算書

確定申告書

青色申告決算書

確定申告書

保存が必要な帳簿書類

法定帳簿

任意帳簿

現金出納帳

売掛帳

買掛帳

固定資産台帳

経費帳 など

総勘定元帳

仕訳帳

現金出納帳

売掛帳

買掛帳

固定資産台帳 など

総勘定元帳

仕訳帳

現金出納帳

売掛帳

買掛帳

固定資産台帳 など

電子申告 不要 不要 不要 必要
青色申告特別控除額 適用なし 10万円 55万円 65万円
税制のメリット 申告の手続きが簡便

青色申告特別控除

青色事業専従者給与

損失(赤字)の3年間の繰越

青色申告特別控除

青色事業専従者給与

損失(赤字)の3年間の繰越

青色申告特別控除

青色事業専従者給与

損失(赤字)の3年間の繰越

青色申告は、原則として複式簿記のルールにそって帳簿を作成して保存することが義務づけられています。

具体な帳簿には、売上や仕入、経費などの日々の取引の記録をもとに作成される、「主要簿」と呼ばれる「仕訳帳」「総勘定元帳」、取引を管理するための「補助簿」と呼ばれる「現金出納帳」「売掛帳」「買掛帳」「経費帳」「固定資産台帳」などがあります。

これらの帳簿の作成は、会計ソフト等を利用して効率的に行えます。

 

青色申告のメリットとデメリット

青色申告は、白色申告より帳簿をしっかりと作成することが必要な分、節税や税制のメリットを受ける特典があります。

青色申告のメリット  
①青色申告特別控除  

青色申告の大きなメリットは、65万円(55万円)の特別控除がうけられます。

記帳の方法を単式(簡易)簿記で行う場合は、10万円の特別控除になります。

②青色事業専従者給与  

生計を同じにする家族への給与の支払いについて、事前の届出を行った上で、妥当性がある金額であれば、経費として認められます。

青色事業専従者給与については、税務署へ事前に「青色事業専従者給与に関する届出書」の提出が必要です。

③損失(赤字)の3年間の繰越  

事業で損失(赤字)が生じた場合、翌年以降3年間繰り越すことができます。

青色申告のデメリット
①税務署へ事前に届出書の提出

青色申告を選択する場合、その年の3月15日までに「青色申告承認申請書」を税務署へ提出することが必要です。

年の途中で開業した場合は、開業の日から2ヶ月以内に提出が必要です。

②複式簿記での記帳の作成 青色申告で65万円(55万円)の特別控除を受ける場合には、単式(簡易)簿記に比べて、一定のルールにもとづいた複式簿記による記帳が必要になります。

その年の所得が48万円の基礎控除を下回った場合でも、確定申告の義務が発生しますので、この点も申告手続きの確認が必要です。

白色申告のメリットとデメリット

白色申告は、負担が少ない記帳の方法で済み、確定申告の事務手続きが青色申告に比べると簡便です。

ただし、青色申告に設けられている節税の措置や税制のメリットを受けることができません。

白色申告のメリット  
①届出書の提出が不要   白色申告の場合は、青色申告のように事前に税務署へ届出書の提出が不要なため、時期に関係なく申告を行うことができます。
②記帳が簡便  

白色申告の場合も、記帳が義務づけられています。

帳簿の方法は、単式(簡易)簿記で記帳が行えるため比較的簡単に、事務負担も青色申告に比べて軽減されます。

③確定申告の書類が簡便  

確定申告の書類の作成も収支内訳書に売上や経費などを記入するシンプルな手続きです。

白色申告のデメリット
①特別控除の適用がない

白色申告では、特別控除を受けることができません。

②損失(赤字)の繰越の適用がない

その年の確定申告で損失(赤字)になったとしても、翌年以降に損失を繰り越すことができません。

昨年が損失(赤字)で今年は黒字の場合、昨年の損失(赤字)分を繰り越して今年の黒字分から差し引くことができないため、青色申告を選択した時よりも税負担が多くなります。

白色申告の場合でも、記帳を行い帳簿書類の作成や記録の保存が義務つけられています。

青色申告の10万円の特別控除の要件である簡易帳簿の作成と白色申告での記帳方法は大きく変わらないため、帳簿書類や確定申告書類の作成をふまえて、青色申告の特別控除10万円を選択することも考えられます。

青色申告の手続き

青色申告を選択する場合、原則、青色申告で申告しようとする年の3月15日まで「青色申告承認申請書」を税務署へ提出することが必要です。

1月16日以後に事業を始めた場合には、事業を始めた日から2ヶ月以内の提出が必要です。

青色申告承認申請書には提出期限があるため、いつの年分の確定申告から適用を受けるかによって提出期限の確認が必要です。

また、青色申告していた事業者が亡くなり、相続により事業を引き継いだ場合、引き継いだ方が青色申告を選択するときも、それぞれ提出期限が決められています。

新規開業した場合の「青色申告承認申請書」の提出期限

・1月16日以後に事業を始めた場合事業を始めた日から2ヶ月以内に提出

・1月1日から1月15日までに事業を始めた場合その年の3月15日までに提出
白色申告から青色申告を選択する場合の「青色申告承認申請書」の提出期限

・青色申告をしようとする年の3月15日までに提出

3月15日以降に申請書を提出した場合、その年分の確定申告は白色申告で行い、翌年分の確定申告から青色申告になります。
相続により事業を引き継いだ場合の「青色申告承認申請書」の提出期限
相続開始を知った日(死亡の日)の時期に応じて、それぞれの期間内に提出することが必要です。
・相続開始の日が1月1日から8月31日までの場合 相続開始の日から4ヶ月以内
・相続開始の日が9月1日から10月31日までの場合 その年の12月31日まで
・相続開始の日が11月1日から12月31日までの場合 その年の翌年の2月15日まで

提出期限の日が、土曜日・日曜日・祝日などの場合は、その翌日が提出期限の日になります。

まとめ

青色申告は白色申告に比べて、節税や税制面でのメリットが受けられる分、ルールにそった帳簿の作成が必要で経理面での負担は大きくなります。

ただし、日々の経理を行うことで、事業の収益や費用の確認ができ、先の見込みの数字の把握にもつながるため、経営管理に役立ちます。

税制のメリット、事業の数字の管理のメリットなども考慮して申告の方法を検討されることもおすすめします。

 

個人で事業を開業されてから、経理や決算の手続きに関するお困りごと、確定申告などの税務手続きに関するお悩みごとなど、経理や税金のご相談から提案を受けたいというご要望にも対応しております。

 

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